来来来チーム『東洋一』

2016/6/1

Music

来来来チーム『東洋一』

日本の若手バンドで1番注目しているというか、とにかく大大大好きなのが来来来チームなんです。2014年リリース『東洋一』を中心に来来来チームの魅力について語ってみたいと思います!

データ

tumblr_inline_n7kcqzZL141sumztz

リリース 2014年
レーベル ハリエンタル
トラックリスト
  1. 東洋一
  2. よかトピア
  3. 超能力
  4. 来来来世紀
  5. ニーハイ
  6. キッズウォー
  7. ハートの南京錠

来来!キョンシーズ

来来来チームってなんだよ?と、まずはそこからですよね。80年代に幼少期を過ごしたアラサー、アラフォーにはおなじみ来来!キョンシーズという台湾制作のドラマがバンド名の元ネタだと思われます。当時保育園児だったワタクシも夢中になって観ていた記憶がありますし、友達の間でもキョンシーごっこが流行ったりもしました。(鬼ごっこと同じルールなんですが、鬼=キョンシーなので鬼は両腕を前に揃え、移動は膝を曲げずに両足でピョンピョンのみしか許されないという、鬼がただ不利なだけ。)そしてスイカ頭にはみんなトラウマ植えつけられましたよね。

来来来チームというバンド名を始めて知った時、幼少期の記憶とチャイナ的なオリエンタルな響き、その2つを喚起させられました。もしかしたら、バンド名がバンドのコンセプトを体現しているのかもしれないです。ちなみに、来来!キョンシーズのテーマ曲は松本隆と細野晴臣のコンビだったんですね!最近知りました。

彼らのキャッチーさとは

2012年ミニアルバムとしてリリースされた来来来チームの代表曲「天国」について、作詞・作曲の山下泰平はこう解説しています。

『サザエさん』のようなアニメのテーマソングを意識した最後の締めが実は一番の聴きどころかもしれない。

サザエさんのオープニングとエンディングを作曲し、他にも昭和史に残る名曲を松本隆とのコンビで数多く手がけた筒美京平。TV番組のテーマ曲やCM音楽を数多く残しているキダ・タローや小林亜星などなど。偉大な先達たちのメロディーの断片は潜在的に日本人の記憶に存在していることでしょう。その記憶を絶妙な距離から掘り起こしてくれるのが来来来チームだと思っています。彼らの魅力であるキャッチーさの源流はこんなところにあるんじゃないかなーと、割と真剣に分析してみました。

ではここで「天国」をお聞きください。ONIONSKINによるMV最高ですね!

同時代性だってちゃんとありますよ

来来来チームのルーツには日本の昭和音楽史があるんじゃない?という前段でしたが、それはちょっと深読みが過ぎるかもしれませんね。もっとカジュアルに彼らの音楽性について考えてみます。

山下泰平のTwitterや個人ブログでは、彼のこれまでの音楽遍歴が語られる場合も多く、来来来チームの音楽を構成する要素を紐解くヒントが満載です。

その中でもダーティ・プロジェクターズ(Dirty Projectors)やグリズリー・ベア(Grizzly Bear)など、コーラスワークを用いフォークとサイケをオルタナティブに横断する音楽性に来来来チームとの共通項を多く見出してしまいます。ともに2000年代以降のバンドなので、リアルタイムに来来来チームに影響を与えているかもしれませんよ。

東洋一は世界一

ここで『東洋一』のタイトル曲「東洋一」をお聴きください。こちらもONIONSKINによるMV最高ですね!

実はこの曲、実際に歌われていない歌詞が歌詞カードには書いてあります。

東洋一は世界一

さすがに印刷時のミスということはないと思うので、これは意図的だとは思うのですが、この1文気になりますよね。もしかしたら山下泰平の出身地長崎県にあるハウステンボスが行っているイルミネーションイベントのキャッチコピーからの引用かもしれません。

衝撃の700万球イルミネーション誕生から3年目、いよいよ1,000万球
第一幕完成!東洋一から世界一へ。

でもどうせなら音楽に紐付けて考えたい。
この1文を目にしたとき真っ先に思い浮かんだのがムーンライダーズのクラウン時代をまとめたコンピレーション『東京一は日本一』です。クラウン時代のムーンライダーズといえばニューウェーブ期真っ只中でした。東京でニューウェーブをやるということはそれ即ち日本一だろうという自信に満ちたタイトルは、常に日本の音楽シーンの先頭を走ってきたムーンライダーズらしいですよね。

来来来チームももちろんニューウェーブ期の音楽に影響を受けていることは間違いないのですが、それよりも両者に共通しているのは、そのキャッチーさから感じるポピュラリティなのかなと。先ほど来来来チームのキャッチーさの説明にCM音楽を引き合いに出しましたけど、ムーンライダーズって実はCM音楽をたくさん手がけているんですよね。その仕事の一端は『MOONRIDERS CM WORKS 1977-2006』にまとめられています。特に鈴木慶一が手がけたCM音楽には記憶の片隅に残り続けているものが多いんですよ。「フリスキー’88」「明星一平ちゃん」「アロエリーナ」などなど。(「明星一平ちゃん」のボーカルはなんとカーネーションの直枝さんです!)

ちょっと強引だったかもしれませんが、来来来チームとムーンライダーズが地続きに繋がっているんだ!と妄想すると色々と楽しいですよね。

東京一は日本一東京一は日本一

MOONRIDERS CM WORKS 1977-2006MOONRIDERS CM WORKS 1977-2006

1stアルバムにしてベスト盤

「東洋一」「よかトピア」と彼ららしいネジ切れたポップチューンが続き、冒頭からテンション高いです。2010年配信のみでリリースされたdemo音源に収められている「超能力」「来来来世紀」「ニーハイ」の新録版がその後に続きます。このあたりはライブで練り上げられてきただけあって、demo版から大きくアップデートされた演奏が聴けます。そして「キッズウォー」「ハートの南京錠」と私小説のようにドメスティクな視線で書かれた歌詞が印象的な2曲でアルバムは終わります。全7曲と曲数は少ないものの、どの楽曲もよく作りこまれており、完成度は大変高いです。2010年のdemo音源発表時から4年を経て完成した1stアルバム『東洋一』は来来来チーム現時点でのベスト盤と呼んでも差し支えないでしょう。

まさかの対バン

Cjsrh2IVEAAq5RT

H Mountains & 来来来チームpresents
「とんちんかんマンデー2016サマー」
2016年6月27日(月)
会場:秋葉原GOODMAN
時間 : 開場18:30 / 開演19:00
料金 : 前売り2800円+1d / 当日3300円+1d

出演
H Mountains
来来来チーム
カーネーション

4月18日に渋谷7thFLOORで行われた来来来チームとTOURSの対バンを観に行ってきたんですけど、ライブ中に発表されたこの情報にはさすがに興奮しました! なんたって大大大好きなカーネーションとの共演なんですから。1人で「うおーっ!!」ってなってたんですけど、周りのお客さんは割とリアクション薄かったですね。

月曜日ってのが働く男にとっては少しきついですが、どんな手を使ってでもこのライブには行こうと思います!

2016年は来来来チームに期待!

最近ライブで演奏されている「ピンナップス」と「幽霊部員」を収録したdemo CDRを制作したようです。このCDRは基本的にライブハウスでしか販売されていません。実は4月18日のライブはこのCDR目的もあって行ってきたのですが、山下泰平氏がCDRを持ってくるのを忘れるというまさかの事態で買えませんでした。ですが、新代田にあるlike a fool recordsは唯一リアル店舗で取り扱っているらしいです。ドラムの張江さんが時々えるふえるで店長を務める関係ですかね。(ちなみに、like a fool recordsの店名の由来はスーパーチャンク『Foolish』収録「Like a Fool」からのようです。)

demo CDRも制作し、ライブも絶好調な来来来チーム。Twitterを覗いてみると、どうやら新曲の録音を行っているようです。『東洋一』に続く新たなマスターピース誕生の予感をビシビシ感じるので、今年は来来来チームに大いに期待しましょう!

Related Contents

Music Player

Copyright © 2016 Indoor Living All right reserved.